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晴読雨読、時々映画。シェルティ・ラズムと暮らす日々


       (ぼくには、くれへん…)

梨が大好き。
この季節には、せっせと梨を買う。
果物の中でじゃなくて、すべての食べ物の中で
ベスト3に入るくらい好き。
「梨」というと思い出す、あの頃の思い出話をひとつ。

高校時代、私の高校には、何人か自宅から離れて暮らす
下宿生がいた。
仲間の中の下宿生の一人が、ある秋の日、学校に
小玉スイカくらいある大きな大きな大きな梨を一個持ってきた。
「好きって言ってたから、持ってきたよ。
みんなで食べよう」
お母さんが送ってくれたらしい。

なんていいお母さん、今、子を持つ親となった私には理解できる。
たとえ、休みの日に帰れるようなところに住んでいようと
離れて住んでいる息子に早く食べさせてあげたいという
母親の愛情。
そして、そんな母親の愛情を受けて育った息子は、
「みんなで食べよう」と言えるやさしい子に育っている。

みんなで梨を囲んで「でっかー!」「いい匂いするよー」とか
言いながら大喜び。
そこで、いっちばん梨好きと認められている私が
「私が調理室に忍び込んで、皮をむいて、切ってくる。待ってて」と
みんなの期待を背中に受けて、調理室に向かった。


 (ぼくには、くれへん…)

ところが、なかなか帰ってこない私。
「先生にみつかったかな?」「怒られてないかな?」と
みんなは心配して、調理室に私を探しにいくことにした。

そして、調理室の戸をそーっと開けて
「きゃ~っ!!」
みんなは口々に叫んだ。

「何やってんの!!」
「どうして、一人で食べてるの!」

そうです、私は、
調理室に行って、切って、皮をむいて、
梨を一人で食べ始めていたのだ。

最高においしい梨だったけど、冷えてないのが残念だった。


若かったなあ…、わたし。
しっかり成長して、今では、こうして、家族のために
せっせと梨の皮をむいている。
えらいわ~、私。こんなに梨が好きなのに…。

自分に感動しながら、梨をむいては、口に入れ、
梨をむいては、口にいれ、
あれ?
あとこんなけしか残ってない。
これじゃみんなの分足りないね。
しょうがないなあ、全部食べちゃおうっと。


(どうせ、ぼくの口に入る分は、ないし…)


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2007.08.10 / Top↑