晴読雨読、時々映画。シェルティ・ラズムと暮らす日々

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     (これを読んだあと、お母さんの言葉が変になります…)

流転の海 第5部 「花の回廊」 宮本輝 著
を読んだ。

前作「雨の夜曲」が2002年6月発行だから、
5年ぶりの松坂熊吾の新作の伊予弁だ。
なつかしい…。でもすぐに物語に入っていくことができた。

今回の舞台は…
『昭和32年、再び一文無しになった松坂熊吾一家には、
親子3人で住める家がなかった。
熊吾は、電気も水道も止められた大阪・船津橋のビルに住み、
自動車社会を見据えた大規模な駐車場経営に乗り出す。
妻の房江は小料理屋で、女主人のいやみに
耐えての下働きで一家を支える。
10歳になった伸仁は尼崎の貧しい人々が住むアパートに
父母と離れて住み、
良くも悪くも人間社会の深みを知っていく。』

今までの登場人物のその後ももちろんだが、
新しい登場人物もたくさん出てくる。
宮本氏のあとがきによると
「松坂伸仁の生涯にわたっての「根」のその毛細根の部分に
染み込んだ人々がたくさん登場する」とある。
どの登場人物が、これからの伸仁の人生に
深く関わっていくんだろう。楽しみだ。
10歳の伸仁に対する父の熊吾と母の房江の愛情のかけ方が
とても好きだ。溺愛ではあるけど、あまやかしではない。
その愛情の深さと巧みさに感動する。


(『ラズムぅ、ちゃんとあるいちょるかー』だって、変だよね~)

宮本輝は、私にとって特別な作家だ。
前にも書いたような気がするけど、
私は、宮本輝の本を1年ずつくらいあけて、3回読む。
1回目は、ストーリーを追って読み、
2回目は、文章を味わって読み、
3回目は、登場人物の会話からいろいろなことを学ぶ。

そうしようと思ったきっかけは、この「流転の海」のシリーズを
読んだからだ。

まず、1回目のストーリーと2回目の文章、
これは、宮本輝のストーリーテラーとしての才能と、
その文章のうまさは、日本の作家の中では
郡を抜いているので、当然。
たとえば、文章は、声に出して読んでみるとよくわかる。
宮本輝の文章は、リズム感があり、
細部にわたって、練り上げて書かれていることがわかる。

そして、3回目の登場人物の会話について。
私は、思春期の頃には、もう父親がいなかったからか、
尊敬できる大人、自分にいろいろ指南してくれる大人の
存在にあこがれていた。
でも、学校の先生の中にも、お勤めの上司の中にも
それに値する人がいなかった。
そんな私が、初めて出会った大きな存在、それが松坂熊吾なのだ。
松坂熊吾の台詞の中から、私は本当に多くの人生についての
指南を受けることができた。



今回、この第5部、今までよりも台詞が多いような気がする。
ただ、熊吾も還暦となり、なにかについて長々としゃべろうとすると
まわりの人から「説教が長いから」と言われたり、
自分が言うことに反論されて、自分が間違っていると思うと
「おまえの言うちょることが正しい…」と
直に謝ったりしている。
今までの熊吾より、かわいくなっている。
かわいい?私が熊吾をかわいいと思うなんて、
ちょっと感慨深い思いだ。
これは、熊吾が年をとったのか、私が年をとったのか…。
もし私に父親がいても、今頃は、父親のことを「かわいい」とか
思えたりするのかな。



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2007.08.05 / Top↑
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